RPAとAI
この記事では、「RPAとAIの違い」」や「RPAとAIが同一視されてしまう事がある理由」について解説します。
また、RPAとAIはお互いを必要とする関係にあり、連携して(組み合わせて)使われる事も良くあるのですが、その理由や役割分担・事例についても取り上げます。
RPAとAIの違い・関係を簡単に説明すると
RPAは「機械によって、業務を自動化する為の仕組み」であり、AI(人工知能)は「人間の知能の働きに近い能力を持たせた機械の仕組み」です。誤解されている方も多いのですが、「RPA」と「AI」は全く違う概念なのです。
ただし、この2つの仕組み(技術)には密接な関係があります。そして、RPAとAIはセットで検討・導入される事が多くあります。この為、RPAとAIが同一視されてしまう事があるのです。
詳細をお知りになりたい方は、この記事を最後までお読み下さい。
RPAとAIを同一視する誤解が多い理由
改めて強調しておきますが、RPAとAIは全く違う概念です。
しかし、RPAとAIには、「AIを導入する為に、RPAが導入される」や「RPAによる自動化を実現させる為に、AIが活用される」という関係があります。
この為、専門家以外が「RPAやAIが導入されている事例」を見ると、RPAとAIが一体に見える事があります。これが、「RPAとAIが同じものである」といった誤解が生まれる原因になっています。
また、RPAやAIは、共にメディアでも良く取り上げられる「話題の用語」であり、専門家以外の方の会話でも良く取り上げられます。そして、「何となく解ったつもりで使っている」という方も多く、それも誤解されている事が多い現状を引き起こしています。
AIがRPAを必要とする3つの理由
では、なぜ、AIとRPAはお互いを必要とするのでしょうか。まず、AIがRPAを必要とする3つの理由を解説します。
AIの教材を集める為のRPA
まず、「AIが必要とする大量の学習材料を用意する為に、RPAが活用される」という理由から、AIがRPAを必要とする事があります。
現在、活用が進んでいる「AI」は、その判断の精度を上げる為に大量の材料(データ)を必要とします。
しかし、そのような多量のデータを準備する事は容易ではありません。この準備を少しでも楽にする為に、RPAが活用される事があるのです。
例えば、「インターネットからAIの学習に使える情報を集める」や「大量に存在するデータを加工し、AIが処理しやすい形式に変換する」などの処理をRPAに行わせる事があります。
AIを業務の中に組み込む為のRPA
また、「AIを業務に組み込む為に、RPAが活用できる」という理由で、AI導入時にRPAが必要とされる事もあります。
AIを業務で活用する為には、「AIを他の業務と連携させる為の仕組み」が必要となります。
例えば、「必要なタイミングでAIを起動する」「AIに情報を渡す」「AIが判断した結果を受け取る」などの処理を担う仕組みがないと、AIをスムーズに活用する事は出来ません。
もっとも、このような仕組みを実現させる為の方法はRPAである必要はなく、RPA以外の仕組み(専用のシステムなど)でも問題はありません。
しかし、AIは試験的に導入される事も多く、導入された後も業務が変化する事が良くあります。この為、「業務変化に強い」という特徴(強み)のあるRPAが良く利用されるのです。
業務にAIを導入する準備としてのRPA導入
更に、「AIを導入する準備の為に、RPAが活用できる」という理由でRPAが必要とされる事もあります。
少し難しい話になりますが、AIの導入にあたっては、関連する業務を見直す必要があります。AIが必要とする情報を準備したり、AIが関連する業務をマニュアル化したりする必要があるのです。
そして、そのような見直し作業の為に良く使われるのが、「システムを導入する事によって、業務を整理する」という手法であり、その際、導入が容易なRPAが活用される事が多いのです。
このような様々な理由から、AIが導入される際にRPAも導入される事が多くあるのです。
RPAにとってAIが必要である理由
逆に、RPAの側でもAIを必要とする事があります。
RPAは「業務の自動化」の為に導入されますが、その自動化のネック(解決しなければならない問題点)となるのが「人による判断が必要な業務」の存在です。
そして、AIは、「これまで人にしか出来ないと考えられてきた判断を機械に行わせる」という目的の為に活用される技術です。ですから、RPA導入のネックである「人による判断が必要な業務」を機械に行わせる為に「AI」が活用される事があるのです。
RPAがAIを活用する事例
RPAの導入にあたってAIが活用される事例としては、以下のようなものがあります。
・売上や在庫のデータをAIが分析し、発注を自動的に処理する。
・監視カメラの画像をAIが監視し、異常が検知されると「関係者への通知」を自動的に実行する。
・決済データから不正をAIが見つけ出し、自動的に「問題が拡大しない為の措置」を実行する。
・手書きの書面データをAIが分析して内容を判断し、必要な情報をシステムに登録する。
など。
このような事例では、RPAとAIが連携する事で(組み合わせて導入される事で)、これまで人が判断するしかなかった部分を自動化する事が出来るのです。
RPAとAIの関係の今後
AIとRPAは、共に、今後も導入が進むと考えられています。
まず、AIに関してですが、「AIを導入して業務効率を高める」や「これまでは実現させる事が難しかった業務を、AIを活用する事で実現させる」といった案件は今後も増えると予想されています。そして、そのようなAIの導入・活用の為に、RPAも必要とされ続ける事になります。
また、RPAについても、「RPAを活用して業務の自動化を進める」という流れは今後も変わらないと予想されています。そして、その中で、「より高度な自動化を実現させたい」というニーズが高まる事は間違いなく、その実現の為にAIが求められる事になります。
AIとRPAの導入に際し、互いに相手を必要とする関係も続くと予想されます。