RPAとDXの関係とは
DXの為にRPAを導入しようとしている場合には、DXとRPAの関係について十分に理解した上で検討を進めるようにして下さい。DXの為にRPAを活用する事は可能ですが、RPAを導入すればDXが実現できる訳ではありません。
この記事では、「DXとRPAに関する用語の意味」「DXとRPAの違い」「DXとRPAの関係」「DXの為にRPAを活用する方法」について解説します。
DXとRPAに関する用語の意味
DXとは(DXという用語の意味)
DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略であり、「デジタルによって、既存のビジネスの仕組みを変革させる」という事を意味します。
注意して頂きたいのですが、「単にIT化を進める」や「デジタル化によって業務の効率を上げる」といった事は、DXには含まれません。DXのXはトランスフォーメーションの略であり、トランスフォーメーションの意味が「変革」である事からも、それは明白です。
既存の仕組みを大きく変化させない限り、DXとは呼べない事に注意するようにして下さい。
RPAとは(RPAという用語の意味)
これに対し、RPAは「Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)」の略であり、「パソコンを使った業務の自動化」を意味します。
RPAを導入すると、ロボットが人の代わりにパソコンを操作してくれます。デジタル技術の発達により、従来は人が行うしかなかったパソコン業務(作業)までを機械に任せる事が出来るようになりました。
DXとRPAの違い
RPAとDXが似た意味であると誤解されている方もいらっしゃいます。
しかし、RPAは「業務改善に活用できる技術の一つ」であり、DXは「ビジネスの仕組みの変革」を指す用語です。RPAとDXは全く異なる概念だと理解して下さい。
なお、「RPAとDXがどのように関係する事があるのか」という点については、この後、説明を続けます。
DXとRPAの関係
RPAは、「現在、人が行っている業務を機械に任せる」という目的の為に導入される事が多くあります。しかし、そのような導入の場合、業務の仕組み等が抜本的に変わる訳ではありません。そして、DXでは「デジタルを前提に、業務の仕組みなどを抜本的に見直す」という事が求められます。
ですから、そのようなRPA導入はDXには該当しません。それは、単に「IT化」「デジタル化」などと呼ばれるものです。
その一方、RPAもデジタル技術の一つです。そして、「RPAを導入する事で、既存の業務を抜本的に見直す」という事も可能です。
そのようなRPA導入であれば、「RPAの導入によってDXが達成された」と言う事が出来ます。
ですから、RPAとDXの関係は、「RPAを導入すればDXが実現される訳ではないが、DX実現の為にRPAを活用する事はできる」という関係にあります。
DXの為に活用できるRPA
では、どのようなRPAの導入であればDXに該当しないのでしょうか。また、DXの為にRPAを活用したい場合、どのように導入すれば良いのでしょうか。
まず、「既存の業務を前提として、RPAを導入する」という事を行った場合、そのRPA導入はDXには該当しない可能性が高いでしょう。特に、「これまで人が行っていたパソコン業務を、RPAで自動化しただけ」という場合には、単なる「RPAによる業務の自動化」であり、DXには該当しません。
これに対して、「これまでは実現できなかった事が出来るようにする為の手段としてRPAを導入する」という事を行った場合、それは立派なDXであると言えるでしょう。
例えば、以下のようなものが、RPAを活用してDXを実現させた例となります。
- 情報を自動で分析し、その結果を活用する事で、従来とは別次元のマーケティングや顧客対応などが行える仕組みをRPAを活用して構築した。
- 従来は紙のまま保存されていた情報をRPAによって自動でデータベース化する仕組みを構築する事で、これまでは出来なかった大量のデータ分析に基づく行動が行えるようになった。
- 拠点内で行っていた業務をRPAで自動処理する仕組みを構築し、拠点にとらわれずに業務を行う事が出来るようになった。
※このようなRPAの導入事例については、当サイトのRPAの導入事例にて詳しく紹介しております(関連情報:RPAの導入事例)。
なお、誤解して頂きたくないのですが、DXに該当しない場合であっても、RPAの導入に意味が無い訳ではありません。RPA導入によって既存業務を自動化するメリットは大きい為、そのような導入についても、企業は積極的に取り組むべきです。
ですから、RPAの導入を検討されている場合には、「DXを実現させる為に活用できる技術としてのRPA」と「業務を効率化する為の技術(従来のIT化の延長)としてのRPA」という両方の側面からRPAを検討される事をお勧めします。
どちらの目的を重視してRPAの検討を進めるべきかは、その会社や事業が置かれた状況によって結論が異なります。しかし、どちらの目的の為であっても、経営改善の為にRPAは大きな役割を果たします。RPAの積極的な活用をお勧めします。