働き方改革とRPAの関係
RPAは、働き方改革との関係でも注目されています。
この記事では、「働き方改革に企業が対応する上で、RPAはどのように役に立つのか」を解説します。
働き方改革とは
働き方改革の内容は、「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(働き方改革関連法)」にて定められています(2018年公布、2023年にかけて段階的に施行)。
厚生労働省は、この法律について、「労働者がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を実現する働き方改革を総合的に推進するため、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保等のための措置を講ずる。」と説明しています。
そして、働き方改革が目指す具体的な内容については、以下の6つの分野についてであると説明しています。
1.労働時間に関する制度の見直し(長時間労働の是正(一定日数の年次有給休暇の確実な取得を含む))、多様で柔軟な働き方の実現)
2.勤務間インターバル制度の普及促進等
3.産業医・産業保健機能の強化
4.不合理な待遇差を解消するための規定の整備
5.労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
6.行政による履行確保措置及び裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備
※働き方改革関連法は、働き方改革が目指すものを実現させる為、労働契約法、労働者派遣法、パートタイム労働法、労働時間等設定改善法、労働安全衛生法など様々な法律を改正し、労働に関する様々な規定を変更する法律です。
RPAの導入で実現できる働き方改革の分野
働き方改革が目指す6つの分野のうち、RPAの導入が大きな意味を持つのは2つの分野についてです。
具体的には、以下の2つの分野についての働き方改革を企業が実現させる上で、RPAは大きな役割を果たします。
1.労働時間に関する制度の見直し(長時間労働の是正(一定日数の年次有給休暇の確実な取得を含む))、多様で柔軟な働き方の実現)
2.勤務間インターバル制度の普及促進等
この2つの分野については、「業務の効率化」や「業務の属人化の解消」といった方針で対応する事が可能です。
そして、RPAを導入する事で、業務を自動化し(=業務の効率化)、また、誰でも業務が実行出来るようにする(=業務の属人化の解消)という事が可能です。この為、RPA導入によって、これら分野の働き方改革に対応する事が可能なのです。
なお、これら分野への対応にあたっては、「業務内容の変更」や「人員増員」といった方針での対応も可能です。しかし、このような方針で対応を行う場合、経営への影響は大きくなります。この為、「業務の効率化」や「業務の属人化の解消」といった方針で対応できる場合には、その方が望ましいと考えられています。
なぜRPAの導入が働き方改革の実現に役立つのか
RPAは「業務の効率化」と「業務の属人化の解消」により、働き方改革が求める内容のうち、「労働時間の短縮」「休暇が取れる環境の整備」「勤務間インターバル実現の為の環境の整備」などの実現に役立ちます。
業務の効率化
RPAを導入すると、業務が自動化され、同じ業務を遂行する為の労働時間を短縮する事が可能となります。この為、RPAの導入によって、長時間労働の是正(残業減)を実現させる事が可能となります。
また、業務の自動化により、労働者が業務を離れる事が出来る時間を長くする事が出来るようにもなります(夜間に配置していた人員を廃止できる、など)。これは、勤務間インターバルの実現にも役立ちます。
勿論、年次有給休暇の取得もしやすくなります。
業務の属人化の解消
RPAで業務の自動化を進めると、特定の人に頼らずに業務が進められるようになります。その結果、「特定の従業員の労働時間が長くなってしまう」や「特定の従業員が休めない」といった問題が解決できるようになります。
これらの問題を解決する事が、「長時間労働の是正」「有給休暇の確実な取得」「勤務間インターバルの実現」などの働き方改革の実現に繋がる事は、言うまでもありません。
RPAの導入が関係しない働き方改革の分野
ただし、RPAは万能薬ではありません。
RPA導入は、前述の通り、「労働時間の短縮」「休暇が取れる環境の整備」「勤務間インターバル実現の為の環境の整備」などの実現の為には大きな役割を果たします。
しかし、それ以外の働き改革が目指す分野については、企業は、別途、「社内制度の改定」や「社員教育」などによって、実現を目指さなければなりません。
働き方改革を目指す企業がRPAを導入すべき理由
働き方改革への対応には、コスト増に繋がる面があります。しかし、RPAを活用する事で、そのマイナス面(デメリット)を小さくする事が可能となります。
また、働き方改革への対応を機にRPA導入を進める事には、様々なメリットがあります。
例えば、RPA導入によって、「業務の属人化の解消」を進めておく事には、潜在的に存在していたリスク(特定の社員がいなくなる事によって業務がまわらなくなるリスク)を取り除く効果が期待できます。
また、残業を減らしたり、休日出勤を減らしたりする事には、従業員の健康状態改善やモチベーションアップに繋がる効果が期待出来ます。
更に、RPA導入によって、業務の水準を向上させていく事も可能です。
ですから、働き方改革への対応は企業に義務付けられているものではありますが、対応を義務と考えるよりも、「働き方改革への対応は、RPAを導入する良い機会である」と捉え、前向きに取り組まれる事をお勧めします。
※RPA導入によるメリットについては、以下の記事も参考にして下さい:RPAのメリット。